地質の基礎
1.岩石の分類
堆積岩:堆積岩は砕屑物が積もって固まった岩石と生物起源の岩石に分けられる。前者は,小石が集まった礫岩,砂が固まった砂岩,泥が固まった泥岩である。後者の生物起源岩石として,放散虫という海のプラントンの遺骸が集まったチャート,貝やサンゴなどの石灰分をからできた石灰岩,植物遺骸から特殊な環境でできた石炭などがある。火山の噴火で放出した火山灰が積もってできた凝灰岩も堆積岩になる。
火成岩:火成岩は,マグマが固まってできた岩石で,火山岩(かざんがん)と深成岩(しんせいがん)に区別される。火山岩は概して細粒,深成岩は粗粒である。
化学組成で,けい酸(SiO2重量%)が少ないものから多いものの順に,超苦鉄質(ちょうくてつしつ),苦鉄質(くてつしつ),中間質,けい長質。この順に黒っぽい色調から白っぽい色調に変わる。
火山岩類は,苦鉄質の玄武岩(げんぶがん),中間質の安山岩,けい長質のりゅうもん岩に区分できる。深成岩類は,超苦鉄質のかんらん岩,苦鉄質のはんれい岩,中間質のせん緑岩,けい長質の花こう岩に区分できる。
色調: 黒っぽい -------------------- 白っぽい
組成 |
超苦鉄質 |
苦鉄質 |
中間質 |
けい長質 |
火山岩 |
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玄武岩 |
安山岩 |
りゅうもん岩 |
深成岩 |
かんらん岩 |
はんれい岩 |
せん緑岩 |
花こう岩 |
苦鉄質:「苦」とは苦土(マグネシウム),そこで苦鉄とはマグネシウムや鉄という意味。
けい長質:「けい」(珪)は二酸化けい素からなる石英,「長」は長石,そこでけい長とは石英や長石の意味。
変成岩:地球の浅いところにあった堆積岩や火山岩は,地球内部に持ち込まれると高温高圧で新しい鉱物ができる。地下でマグマが固まって深成岩ができるときには,そのまわりの岩石は高温となるため,新しい鉱物ができる。このように圧力や熱の新たな条件で形を変えた岩石が変成岩である。
2.地質時代
地質時代には化石や地層の特徴から相対的に区分した年代と放射性鉱物から数値で年代を表す絶対年代(放射年代)がある。地質年代のもともとは化石に基づく区分である。無脊椎動物,魚類,両生類が出現する古生代,爬虫類が栄えた中生代,哺乳類が栄えた新生代に分けられる。中生代は,古い方から三畳紀,ジュラ紀,白亜紀に,新生代は,古第三紀,新第三紀,第四紀に分けられる。古生代以前は,一括して先カンブリア時代という。
代,時代 |
紀(世) (先カンブリア時代は代) |
生物界 |
新生代 |
第四紀 (完新世/更新世) 新第三紀 (鮮新世/中新世) 古第三紀 (漸新世/始新世/暁新世) |
哺乳類(ほにゅうるい)の時代/被子(ひし)植物時代 |
中生代
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白亜紀 ジュラ紀 三畳紀 |
爬虫類の時代/裸子(らし)植物時代 |
古生代 |
ペルム紀/石炭紀/デボン紀/シルル紀/オルドビス紀/カンブリア紀 |
両生類,魚類の時代/無脊椎動物の時代 |
先カンブリア時代 |
原生代/始生代/冥王代 |
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放射年代:古生代の始まり541,中生代の始まり252,新生代の始まり66(単位は百万年前)
3.付加体
日本列島の主な骨格は,付加体とそれに覆う新しい地層や火山岩から構成されている。付加体とは,海洋プレートが海嶺で生まれてから海溝付近まで移動する間に海底で堆積した地層や岩石が陸から海溝に運ばれた泥や砂と混じりあって陸のプレートに張りついたものである。この付加体のうち,海洋プレートに堆積した地層や岩石は,海嶺で噴出した玄武岩,海洋島の浅瀬でサンゴなどの死骸が固まってできた石灰岩,深海でプランクトンの珪質の殻が積み重なり固まったチャートなどからなる。
4.地質図
地質図は,地層や岩石を区分し,その分布を地形図の上に色や模様で表現したものである。資源調査,土木工事,防災調査で必須の図面である。