体験:犬山の地質図を作る
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2.地質の基礎と地質図
2.1岩石の分類
岩石は,地球表面上で堆積した堆積岩(たいせきがん),マグマから固まってできた火成岩(かせいがん),すでにある岩石が熱や圧力を受けてできた変成岩(へんせいがん)に大きく分けられる。
堆積岩
堆積岩は砕屑物(さいせつぶつ)が固まった岩石,化学−生物的岩石,火山性岩石に分けられる。
・砕屑性堆積岩
粗粒のもの:れき岩,角れき岩
/ 中粒のもの:砂岩 / 細粒のもの:泥岩
・化学-生物的堆積岩
けい質 チャート(放散虫が集まってできた)
石灰質 石灰岩(貝やサンゴなどからできた)
炭素質 石炭(特殊な環境のもとで植物遺骸からできた)
火山性堆積岩 凝灰角れき岩,凝灰岩など火山からの放出物が積もってできた岩石
火成岩
火成岩は,マグマが固まってできた岩石で,火山岩(かざんがん)と深成岩(しんせいがん)に区別される。火山岩は概して細粒、深成岩は粗粒。
化学組成で、けい酸(SiO2重量%)が少ないものから多いものの順に、超苦鉄質(ちょうくてつしつ)、苦鉄質(くてつしつ)、中間質、けい長質。この順に黒っぽいから白っぽいと色調が変わる。
・深成岩の分類
超苦鉄質は、かんらん岩、苦鉄質は、はんれい岩、中間質は、せん緑岩、けい長質は、花こう岩である。
・火山岩の分類
苦鉄質は、玄武岩(げんぶがん)、中間質は、安山岩、けい長質は、りゅうもん岩である。
変成岩
変成岩は、もともとあった岩石が圧力や熱の新たな条件で形を変えた岩石が変成岩である。
岩石写真集(聖徳学園HPより)
http://www.ha.shotoku.ac.jp/~kawa/KYO/CHISITSU/GANSEKI/index.html
実習
岩石標本を観察する
特徴がわかるようスケッチし、説明を入れる。
岩石と鉱物
鉱物と岩石の違い
鉱物:自然の物質のうち,物理的・化学的に均質で一定の性質を有する無機質の物質。例:石英,長石,雲母
岩石:数種の鉱物の集合体。例:花こう岩,玄武岩,砂岩
実習
鉱物標本を観察する
次の写真で花こう岩の鉱物を観察(ウィキペディアより)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/3b/Granito.jpg
写真は花こう岩(岩石)。白い鉱物は長石,透明のようなガラスの粒の鉱物は石英,黒い鉱物は大部分が黒雲母
実習
実際の岩石の中で鉱物を確認する
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2.2地質時代
化石に基づく相対年代と放射性鉱物を利用して数値で表す放射年代がある。
地質時代は新しいものから古いものへ、新生代、中生代、古生代、先カンブリア時代に区分できる。放射年代では、新生代の始まりは6600万年前,中生代の始まりが2億5200万年前,古生代の始まりが5億4100万年前となる。
新生代は、第四紀、新第三紀、古第三紀に分けられ、さらにそれぞれの紀はいくつかの世に分けられる。
中生代は、白亜紀、ジュラ紀、三畳紀に分けられる。
古生代は、ペルム紀、石炭紀、シルル紀、オルドビス紀、カンブリア紀に分けられる。先カンブリア時代は、原生代、始生代、冥王代に分けられる。
地質年代表(岐阜大学サイトより)
http://chigaku.ed.gifu-u.ac.jp/chigakuhp/html/kyo/chisitsu/gifunochigaku/chronology/index.html
示準化石(ウィキペディアより)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/1f/Index_fossils.gif
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2.3地質調査
地質がわかる場所は、道路沿いの切り割や川岸などの露頭。その露頭も苔でおおわれてわかりにくいことがある。そこでハンマーで新鮮な面を出すことになる。
野外での観察要点
・地図に現在の場所を記す、
・岩石の種類を決める、
・地層の走向傾斜を測る、
・そのほか気のついたこと(化石の有無、鉱化作用など)を記す。
地層の走向傾斜
地質調査では、地層がどちらの方向に延長でき、傾きがどのくらいか知る必要がある。延長の方向を走向、傾きを傾斜という。それらを測る道具がクリノメーターである。
・走向 Strike:地層面と水平面と交わる直線の方向。
・傾斜 Dip:走向に直角で水平面となす角度。
走向傾斜(ウィキペディアより)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/c/cd/%E8%B5%B0%E5%90%91.gif
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/9/96/%E5%82%BE%E6%96%9C.gif
実習
室内で傾けた板などを使い、クリノメーターを使って走向と傾斜を測る。
次の地質調査実習では実際の地層を使って走向傾斜を求める。
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2.4地質図
調査図の作成
地図の上に観察結果を記す。岩石の種類を記号あるいは色の違いで区別する。地層の走向傾斜を記す。
調査図(産総研より)
https://www.gsj.jp/geology/geomap/process-field/gongenyama1.html
地質図の作成
調査図で岩石の露出がないところは論理的に推定して地質境界を書き地質図にする。
調査図をもとに地質図を作成(産総研より)
https://www.gsj.jp/geology/geomap/process-field/gongenyama3.html
断面図作成
・上記の地質図上で地域の地質全体がわかるような方向を断面線とする。
・その方向に沿い地形断面図を作成する。
・その方向の地質を地形断面の地表に沿い記し、地質構造にあわせて地下の地質をえがく。
地質断面図(産総研より)
https://gbank.gsj.jp/owscontents/ol4_50k_section.html
凡例
地質図に示された地質単元の説明、地質図のわきに記す。
通常、左から「地質時代」、「地質単元名称(地層名など)」、地質図で使っている「色や記号」を四角で囲んだもの、「岩石の種類」の順に記す。
地質時代の新しいものから古いものの順に上から下に順に記す。
地質単元のほか地質図内で使った記号を記す。例えば、走向傾斜、褶曲、断層、鉱山、温泉。
例 桜島の地質図の凡例(産総研より)
https://gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/sakurajima/map/legend01.html
以上の地質図(平面図)、地質断面図、凡例がそろって広義の地質図となる。
まとめ:地質総括表
地質時代を左列にとり、中列に地質単元をならべ、右列に地史(地域の地質の歴史)を記した総括表を作るとその地域の地質が一目で理解できる。
有珠火山の地質総括(産総研より)
https://staff.aist.go.jp/miyagi.iso14000/Works/Event/Usu2000/gmap/Table.gif
ここでは右列に地史に代わり災害史を記している。
実習
・実習コースで実際に地図上に地質監察結果を記し、調査図を作成する。
・調査図から地質図、断面図、凡例を作る。
・隣接したコースをいくつか調査し、同様に地質図、断面図、凡例を作る。
何回かの実習のまとめ
・作ったいくつかの地質図を編集する。
・地質総括表まで作り、地域の地質の歴史を考える。
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自宅待機となった場合の実習案
原則 20分くらいZOOMで解説する。その後、以下の実習を行う。
・岩石鉱物の観察
岩石や鉱物のイメージを見て感想を記す
粒が大きな花こう岩や閃緑岩の構成鉱物を識別する(イメージ像に番号をふるので、それぞれの鉱物名を書く)。
・花こう岩の定量観察
格子入れた花こう岩イメージから鉱物の量を測る。モード測定である。
全部で100の格子を準備。
格子にかかった鉱物の数を数える。
石英、2種類の長石、黒雲母が容易にわかればそれぞれの鉱物の数を測る。
少々難しければ、有色鉱物(黒い鉱物)だけを数える。
・近所で岩石を観察
ビルがあれば、壁などに使っている岩石が何か調べる。名前がわからなければ特徴を調べる(色、粒の大きさ、ほかに気のついたこと)。ビルの名前と岩石の観察結果を記す。
墓があれば墓石に使われている岩石を調べる。同様に墓の場所(お寺など)と観察結果を記す。石屋さんでも良い。石屋さんなら、石材がどこのものかなども教えてくれるかもしれない。
ビルも墓も近くになければ、石垣、置石など岩石なら何でもよいから、場所と観察結果を記す。
・調査図から地質図をえがく。
調査図は画像JPGとpdfスタイルで送る。ペイントソフトで地質図を作って送ってもいいし印刷して手書きの地質図を写真で送ってもよい。
・地質総括表の作成
仮想の地質図を送る。凡例を作り地質総括表を作成する。
・出版ずみ地質図を読む
説明書の地質概説などを読み地域の地質を皆に語る。