資源各論1 (金,白金,銅)  Mineral Resources 1 Gold, Platinum, Copper

  (2026.9.16)

1 金 Gold
2
白金 Platinum
3
銅 Copper

4 ダイヤモンド
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要点

・金の生産量は20世紀初めの7倍となっている

・白金は,南アフリカ,ジンバブエ,ロシアで世界の90%を生産

・銅の生産量は20世紀初めの38倍になる

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自習を能率的にするため,本文中の問いをまとめる。

問1 金の生産の多い国はどこか,3つあげよ。世界全体で何トン産出されたか。

回答例は1のまとめの下に記す。 →回答へ

参考:最近の世界の金生産量国別ランキング(グローバルノートより)

https://www.globalnote.jp/post-1922.html

 

問2 南アフリカの白金生産量は何トンか。世界全体の生産量は何トンか。南アフリカの生産量は世界の何パーセントか。

回答例は.2のまとめの下に記す。 →回答へ

参考:最近の世界の白金生産量国別ランキング(グローバルノートより)

https://www.globalnote.jp/post-3144.html

 

問3 銅生産量の多い国を3つあげる。

回答例を3まとめの下に記す。 →回答へ

参考:世界の銅生産量(グローバルノートより)

https://www.globalnote.jp/post-1845.html

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1 金     Gold

 

生産

1900年から最近までの1世紀余りの変化を見ると,金の生産量は約7倍,世界の人口は4倍になっている。金の生産量で一番の国は,長く南アフリカだったが徐々に生産が減り,最近は,中国が一番である。

参考文献; Price (2016): The world is changing.  GSA Today, 26, 4-10.

 

1900年から2014年の金の生産の変遷(Price, 2016)から次のことがわかる。

・金の生産量は7倍になった。

・一人あたり消費量は約2倍となった。

・2007年まで南アフリカが世界最大の産金地だった(地名:ウイットウォーターズランド)。

・2007年以降,中国が世界一の産出国になっている。

 

2025年の状況 (USGS, 2026)

金価格 US$ 3300/troy ounce

金生産 (ton)

1 中国 380,2 ロシア 310,3 オーストラリア 280

4 カナダ 200,5 米国 160        世界全体 3300

埋蔵量

1 オーストラリア 13000、2 ロシア 12000、3 南アフリカ 5000

世界全体 66000ton

 

最近の世界の金生産量国別ランキング(グローバルノートより)

https://www.globalnote.jp/post-1922.html

 

問1 最近のデータで金の生産の多い国はどこか,3つあげよ。世界全体で何トン産出されたか。

回答例は1のまとめの下に記す。

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金の主な用途

世界全般で次の通り。

・通貨

・宝飾品や美術工芸品

・電気・電子部品の材料

・歯科治療

・投資商品

 

日本国内の需要と用途

国内需要59.5t,主な内訳は以下の通り。

・電気通信・機械部品 28.4t

・宝飾用 8.6t

・歯科医療用 7.5t 

出典:JGMEG(2019)より2017年の実績から

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鉱石から素材(金)へ

参考文献 西山 孝(2022)元素ふるさと図鑑.化学同人.

砂金,金鉱石,硫化物鉱石から素材(金)が得られる。

・砂金→ 採鉱→ 選鉱(粉砕→比重選鉱)→ 精製 

                                ↓

・金鉱石→採鉱→選鉱(粉砕→比重選鉱)→製錬→素材(金)

         採鉱から硫化物製錬に↓    (注) ↑  

・硫化物鉱石→採鉱→選鉱→製錬(溶錬→電解製錬)

(銅,亜鉛,鉛) (露天堀,坑内掘)

注)金鉱床の製錬法はシアン化法(青化法),金アマルガム法,カーボン吸着法などがある。

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1のまとめ

金の生産は1世紀余りの間に約7倍の生産となった。かつては南アフリカがもっとも多く生産していたが,今は中国がもっとも多く生産している。日本での金の用途は,電気通信,宝飾,歯科医療である。

 

問1の回答例

グローバルノートは適宜更新されている。この資料ではkgの値であることにも注意。

例

2017年

中国(426トン),オーストラリア(301トン),ロシア(270トン), 世界全体で3230トン生産。

2018年

中国(401トン),オーストラリア(315トン),ロシア(311トン), 世界全体で3310トン生産。

2019年

中国(380トン),オーストラリア(325トン),ロシア(304トン), 世界全体で3300トン生産。日本も約6トン生産している。それは九州の菱刈鉱山による。

最新版ではどうか。各自整理する。

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2 白金族 Platinum Group

白金はプラチナのこと。白金とその仲間(白金族元素)は生産国が限られる。自動車の触媒に使うなど需要は多く,白金族のパラジウムは価格が金より高い。

 

本章の主な参考文献

Zientek et al. (2014): Platinum-group elements in southern Africa-Mineral inventory and an assessment of undiscovered mineral resources.  USGS Scientific Investigations Report 2010-5090-Q, pp. 126.

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白金族元素とは

・白金族元素(PGM):ルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),オスニウム(Os),イリジウム(Ir),白金(Pt)の総称。

・酸や塩基に侵されにくい特徴がある。

用途(Use):

・自動車の排気ガス浄化,ガラス工業,鉄鋼,ハイオク燃料,化学製品(抗がん剤を含む),装飾具,電子工業

価格(2025年):

・白金     1200ドル/トロイオンス

・パラジウム  1100ドル/トロイオンス

地質:白金族鉱床は,超苦鉄質岩類に産出する

生産国:世界の生産の90%が次の3ヶ国の鉱床地域に集中している。

・南アフリカ ブッシュフェルド

・ジンバブエ グレートダイク

・ロシア ノリルスク

2025年の状況

生産量(kg)

白金 南アフリカ 120000、ロシア 20000、ジンバブエ 18000

世界計 170000

パラジウム ロシア 84000、南アフリカ 70000、カナダ 16000、

ジンバブエ 15000、               世界計 190000

埋蔵量(kg) PGM

南アフリカ 63 000 000、ロシア 11 000 000、ジンバブエ 1 300 000

世界計 76 000 000以上

 

最近の世界の白金生産量国別ランキング(グローバルノートより)

https://www.globalnote.jp/post-3144.html

 

問2

このグローバルノートで,この年の南アフリカの白金生産量は何トンか。世界全体の生産量は何トンか。南アフリカの生産量は世界の何パーセントか。

回答例は2のまとめの下に記す。

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生産国が限られる白金鉱床

白金は,1920年までロシアやコロンビアの超苦鉄質岩類由来の漂砂鉱床(白金ナゲット)から採取されていた。砂白金である。

以後,マグマ性硫化物鉱床が資源となり,カナダのサドベリーがその代表である。最近は南アフリカ,ジンバブエ,ロシアで白金が生産されている。

南アフリカのブッシュフェルド岩体がもっとも有名な白金の産地である。今も十分な量が確保されているが,将来に向けた資源量調査が行われている。

 

白金族資源生産国の変遷(Zientek et al. 2014)

1950年前後はカナダが最も多く生産していたが,最近は南アフリカが多く生産している。ロシアも多い。その他の国と黒い部分のほとんどがジンバブエの生産量。問2の前の統計表と数値が合わないが,統計表は白金,こちらの図は白金を含めたPGE(白金族)全体の生産量を示す。

最近の世界の生産量

白金  186 ton (2019),170 ton (2020), 180 ton (2021),174 ton (2022), 180 ton (2023)

パラジウム 227 ton (2019),210 ton (2020), 200 ton (2021), 203 ton (2022), 210 ton (2023)

 

2024年、2025年の生産 (kg)      USGS (2026)より

 

白金 (左2024、右2025)

パラジウム(左2024、右2025)

南アフリカ

126,000、120,000

82,600、70,000

ロシア

22,000、20,000

89,000、84,000

ジンバブエ

18,400、18,000

15,200、15,000

世界計

179,000、170,000

217,000、190,000

 

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資源量

南アフリカとジンバブエで未開発鉱床の資源量がわかっている。

・白金42000t,パラジウム29000t,ロジウム5200t

・このうちの9割が南アフリカのブッシュフェルド岩体,残りの大部分がジンバブエのグレートダイクという地質体。

 

南アフリカ共和国の地図(ウィキペディアより)

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/0b/Sf-map.png

南アフリカ北東部から北のジンバブエにかけて白金の鉱床がある。

 

ブッシュフェルド岩体,位置と個々の鉱山の説明

https://resource.ashigaru.jp/mine/bushveldcomplex.html

 

ブッシュフェルド岩体の地質と鉱床

・20億年前に形成,66000平方kmの広がりがあり,層状岩は8kmの厚さがある。

・苦鉄質―超苦鉄質岩からなる。

・PGE(白金族)に富む層準が2つある。PGE品位は20g/t。両者の間に5-10g/t の層準もある。

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鉱石から素材(白金族)へ

西山(2022)を簡略化

・砂白金  →  採鉱 → 選鉱     → 精製↓

・白金鉱石 →  採鉱 → 選鉱 →製錬 →  素材(白金,パラジウム,ロジウム)

・硫化物鉱石→ 採鉱 → 選鉱 →製錬→ 精製↑

 (銅,ニッケル) (露天,坑内)     

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白金族鉱床の将来

まだ見つかっていない鉱床を見つけるために,現在の鉱床が深度3kmまで延長できるとして,地質構造などから鉱床を推定できる。3kmまで現在は掘り進んでいないが,採掘技術が進歩してその深さでも操業できることを想定している。

 

未発見鉱床推定方法

ブッシュフェルト岩体メレンスキーリーフとUG2クロマイト岩について,現在わかっている地質を単純化して,幾何学的に傾斜方向に延長して深度3kmの鉱床を見積もった。将来はこのくらいの深さでも採掘が可能と想定。

その結果,期待できる資源量は,南アフリカとジンバブエの2ヶ国で75000トンを予想。この量は現在の見つかっている鉱床とほぼ同じ資源量である。

結論 

・南アフリカとジンバブエの2ヶ国で15万トン。

・内訳は,既知鉱床78000トン(未開発鉱床),今後見つかると期待できる鉱床75000トンである。

・この量は世界で開発が始まってから100年間の生産量の20倍。

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2のまとめ

白金族資源産出国は南アフリカ,ジンバブエ,ロシアに限られる。今後発見されるだろう鉱床を含め十分な資源量が確保されている。

 

問2の回答例

グローバルノートは適宜更新されている。この資料ではkgの値であることにも注意。

例

2019年

南アフリカ112トン,世界全体166トン,南アフリカが67%を占める。

最新のデータではどうか。各自整理してみる。

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3 銅

銅は身近な生活の中で大量に使われている。開発の歴史は古く,現在でも社会を支える資源として大量に生産されている。

1900年から最近に至るまでに世界の人口は4倍となった。銅の生産量は38倍となり,一人あたりの消費量は1世紀余りの間に約9倍となる。

二つの鉱床タイプが世界の銅の8割を供給している。6割が斑岩銅鉱床,2割が堆積性層状規制銅鉱床である。

 

世界の銅鉱床

 

 

銅の生産量と人口の変遷 (Price, 2016)は,1900年から2014年で次のようになる。

・世界の人口は4倍になった。

・銅生産量は38倍になった。

・1人当たりの消費量は約9倍となる。

・Price (2014)は少々ふるくなってきたので最近の生産量を記す。

2019年2040万トン,2020年2060万トン,2021年2100万トン,

2022年2190万トン,2023年2200万トン,2024年2300万トン, 2025年2300万トン

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鉱床タイプの変遷

・銅鉱床は,銅の硫化鉱物,酸化鉱物,炭酸塩鉱物などが濃集していて,鉱石は普通1%以上の銅分を含有する。

・日本では銅鉱脈,キースラーガー,黒鉱鉱床が主要な銅鉱床。日本は戦前そして戦後の一時期まで有数の銅生産国だった(例;足尾,日立,別子)。

20世紀後半から対象鉱床タイプが変わった。

・1960年頃から,製錬技術が進歩して低品位の鉱床を大量に処理するようになった。

斑岩銅鉱床(はんがんどうこうしょう)

花こう岩質の貫入岩類(斑岩)の頂部とその周辺の岩石中に生じた鉱染状銅鉱床。一般に低品位(銅品位1%以下)であるが,含銅量1000万t以上に達する大規模な鉱床が多く,世界の銅埋蔵量の50%以上を占める。副産物としてモリブデンと金が重要。主要鉱床はビンガム(アメリカ),チュキカマタ (チリ),アトラス(フィリピン) など。プレートの周辺に位置する。

 

チュキカマタ鉱山(ウィキペディアより)

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/1a/Chuquicamata-003_02.jpg

 

そのほかの鉱床タイプ

堆積性銅鉱床(たいせきせいどうこうしょう)

世界の銅鉱床の20%を占める。大陸に偏在する。ヨーロッパで盛んに採掘されていたことがある。現在,ザンビアからコンゴにかけて伸びるカッパーベルトが最大のものである。

 

かつては主要な銅鉱床であったが,現在は全体に占める割合が少なくなった鉱床として次のものがある。日本の銅鉱床の多くはこのタイプである。

・火山性硫化鉱床

・浅熱水鉱床

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銅の製錬と銅の用途

概略

鉱山からの採掘物は,砕かれ,選鉱で銅を含んだ鉱物を分離して集める。製錬(精錬)で,銅の化合物から不要な成分を取り除く(銅を抽出する)。その作業にはハイドロメタルジーとバイオリーチングがある。

送電線に代表されるように産業の基盤で利用されている。最近は,太陽光発電のソーラーパネルでシリコン結晶に代わるものとして利用が進められている。

以下やや詳しく見てみる。

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銅鉱石から素材(銅)  西山(2022)より

・銅鉱石(0.5% Cu)→採鉱(露天掘り,坑内掘り)→ 

              ↳ 溶媒抽出-電解採取(SX-EW)法(注)→素材

→選鉱(粉砕→浮遊選鉱 20-40% Cu)→銅精鉱

            ↳ 副産物(レアメタル)

→製錬(溶錬 93-99% Cu) →電解製錬 99.99% Cu)→素材(線,伸銅)

                         ↳ 副産物(レアメタル)

 

選鉱場(神子畑選鉱場,ヒョーゴアーカイブより)

https://web.pref.hyogo.lg.jp/archives/c244.html

 

注)溶媒抽出-電解採取(SX-EW)法

鉱石に直接硫酸をかけ(リーチング),溶け出した銅溶液を電気分解して銅をとりだす。選鉱行程がいらない。対象となるのは,酸化銅と輝銅鉱からなる酸化鉱の場合。

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銅の抽出

・ハイドロメタルジー(湿式製錬,hydrometallurgy):重クロム酸塩などを使い,100℃以上の高い温度をかけ,銅の抽出を行う。

・バイオリーチング:銅,コバルト,ニッケル,亜鉛,ウランの回収で一般的になりつつある。バクテリアの金属酸化機能を利用すると,バクテリアが存在しない状態より,硫化物の分解が早くそして効率的に行われる。

銅の用途

・銅は現代生活に必須のもので,ことに鉛工業,電線,自動車,携帯電話,風力などのエネルギーシステムで用途がある。

 

世界の銅生産量(グローバルノートより)

https://www.globalnote.jp/post-1845.html

 

問3

上の資料から銅生産量の多い国を3つあげる。

回答例を3まとめの下に記す。

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銅鉱床の将来

世界で同定されている鉱床21億トンに加え,未発見鉱床35億トンを期待できる。

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銅利用の拡大

・ソーラー発電に使うソーラーセルの多くはシリコン結晶を半導体物質として使っている。

・黄銅鉱複合体は薄いフィルムのソーラーセルでは半導体となる。

・この銅 インジウム ガリウム ジセレニド(copper indium gallium diselenide, CIGS)合金は,安価なため,次の世代のソーラーセルの薄いフィルムとなりつつある。

 

住宅用太陽光発電では,シリコン系の「結晶シリコンソーラーパネル」が国内市場の8割近くを占め,残りの2割が同じシリコン系の「薄膜シリコンソーラーパネル」と化合物系の「CIGS系(CIS)ソーラーパネル」となっている。

 

発電効率

導入費用

入手性

設置のしやすさ

結晶シリコンソーラーパネル

◎

(13-20%)

△-◎

◎

形状の選択肢が豊富

薄膜シリコンソーラーパネル

△

(7-10%)

△-◎

△

薄型軽量柔軟な製品あり

CIGS系ソーラーパネル

〇

(8-12%)

〇-◎

〇

黒くてデザイン性が良い

(グリエネHPより)

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3のまとめ

現在,銅の多くは,斑岩銅鉱床と堆積性銅鉱床という鉱床タイプから産出しています。生産量のトップはチリです。未発見鉱床にも多くの資源量が期待されています。

用途は,鉛工業,電線,自動車などにあり,さらに新しいソーラーセルに利用されつつある。

 

参考 JX金属HP 操業フェーズ

https://www.jx-nmm.com/company/industry/resource/process02.html

 

問3の回答例

2018年

チリ (5832万トン),ペルー(2437万トン),中国(1591万トン)

最新のデータではどうか。各自確認してみる。

この表は会員限定ページで十分なデータを見ることができないが,USGSの資料によると,世界の生産量はほぼ毎年2000万トンである。

消費量は,粗く言うと,中国が400万トン,米国が200万トン,日本が100万トンである。米国は銅産出国だが国内需要に足らず輸入をしている。

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銅資源補足

 

日本の銅鉱山

すでに地学史の中でふれたが,日本はかつて世界有数の銅生産国だった。以下復習を兼ね日本の銅鉱山をふりかえる。

日本は世界有数の銅産出国だった。大きな銅鉱山は財閥に成長した。

主な銅鉱山

  別子鉱山 1691-1973

  →住友グループに成長

  足尾鉱山 1610-1973

  →古河グループに成長

  日立鉱山 1861-1981

  →日立グループに成長

 

18世紀の世界の産銅量 (JOGMEC, 2006)

日本    (Japan 1716-1754)      2,240 t/year※1

チリ     (Chile   1721-1740)    250 t/year ※2

イギリス (UK       1726-1754)    924 t/year ※3

世界       (World 1726-1754)   2,586 t/year ※3

※1 葉賀七三男 (1990)

※2 EL COBRE CHILENO (1975)

※3 World –Ferrous Metal Production and Prices (1700-1976)

注:イギリス中心の情報のため,世界の総量に日本の生産量が十分反映していない。

足尾鉱山の歴史

・鉱床:新第三紀熱水鉱脈鉱床

・江戸時代

 1610 足尾銅山開山

 1661-1687 銅山最盛期

・戦前

 1877 古河市兵衛が経営に携わる(後の古河鉱業)

 1884 銅生産量日本一

 1890 鉱毒被害深刻

・戦後

 1961 貿易自由化で鉱山経営難に

 1973 閉山 

・閉山後 

 1980 足尾銅山観光オープン 

 2007 産業遺産に 

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4 ダイヤモンド

 

キンバーライトとダイヤモンド

キンバーライト

 キンバーライトは,上昇過程でマントル物質とダイヤモンドをとり込んで地表へもたらす.ロンドン地質学会と地質学協会編集のGeology Todayの解説シリーズで,Brooks (2026) はこのキンバーライトをとりあげた.この解説に先立ち,Waltham (2025) は同誌でダイヤモンドの地質と各国の開発状況を紹介した.これらに基づき,キンバーライトの岩石学的特徴とダイヤモンドの開発について紹介する.ただし,同誌の著作権ポリシーから部分的な紹介になっている.

 ダイヤモンドは,インドのハイデラバード近くのゴルコンダ(Golconda)で2000年にわたり河川れきから採取されてきた.19世紀早々に取りつくされた.この期間に産出したダイヤモンドは1000万カラットになる(Brooks, 2026).1カラット=0.2gなので2トンである.その後,ブラジルや南アフリカが主要な産地となり河川れきから採取された.

 1869年になり状況が一変した.現在の南アフリカキンバレー(Kimberley),ブルフォンテーン(Bulfontein),デュトイトスパン(Dutoitspan)で深い人参状の形の岩体の黄色に風化した岩石(キンバーライト)からダイヤモンドを採取するようになった.

 キンバーライトは,(1) キンバーライトマグマから晶出した鉱物,(2) マントルから地殻までの壁岩由来のゼノリス,(3) ゼノリス中から,あるいはマグマから晶出したメガクリスト,(4) 最終段階の揮発性の熱水成分からなる混合物である.(1) のマグマから晶出した鉱物は,かんらん石,フロゴパイト,スピネル,モンチセリかんらん石,りん灰石,炭酸塩鉱物である.(2) のゼノリスのうち,マントル由来は,ざくろ石ハルツバージャイト,ざくろ石レールゾライト,エクロジャイト,MARID (Mica-Amphibole-Rutile-Ilmenite-Diopside rock)である.(3) のメガクリストは,かんらん石,Mgに富むチタン鉄鉱,Crに乏しい透輝石,フロゴパイトである.ダイヤモンドもその一つである.(4)の熱水成分は,揮発性で反応して炭酸塩鉱物や蛇紋石を生じる.マグマ中の多量の揮発性成分が爆発的噴火を起こし,キンバーライト急上昇の駆動力となる.

 キンバーライトマグマの化学的性質は,超苦鉄質でMgO>25wt%,かんらん石が50%を超える.シリカ成分は少なく,カリウムが多い.揮発性成分に富み,CO2は10%に至りH2Oは5%以上である.Ba,Sr,軽希土類元素,Nb,Zrなどの微量元素に富む.

ダイヤモンドを含む岩石は,玄武岩質キンバーライト,雲母キンバーライト,かんらん石ランプロアイト,超苦鉄質ランプロファイアーである.これらの岩石に必ずダイヤモンドを伴うわけではない.

キンバーライトの野外の産状は火道で特徴づけられる.キンバーライトパイプは,ダイアトリームすなわち火山ガスの爆発的上昇により形成された火道で,人参のような形である.南アフリカのパイプはダイアトリームの深部が現れていて地表水で著しく変質し黄色の粘土となりイエローグランドと呼ばれている.深い部分では熱水作用で蛇紋石や炭酸塩鉱物に富みブルーグランドと呼ばれている.さらに深くでは,半深成岩キンバーライトが岩脈やシルとして産する.

キンバーライトの年代値はキンバーライトに伴うダイヤモンドよりはるかに若い.ダイヤモンドを含む元の岩石(かんらん岩やエクロジャイト)からダイヤモンドがキンバーライトマグマにとり込まれたことを示す.年代値頻度は,中生代51%,古生代27%,原生代16%,新生代6%である.

 

ダイヤモンドの形成モデル

世界のダイヤモンドを産するキンバーライトは先カンブリア時代のクラトン中に産する(Waltham, 2025).ダイヤモンドの形成モデルをWaltham (2025)から以下に説明する.

ダイヤモンドとグラファイトの相転移曲線は,温度250℃と圧力2GPaと2000℃と7.5GPaを結ぶ,上に凸の曲線で,圧力が高い側がダイヤモンド,低い側がグラファイトである.圧力を地下深度(km)におきかえて説明する.

・一般にダイヤモンドは300kmより深いところで安定である.浅いところではグラファイトが安定である.

・炭素の多くは,通常は100km未満の上部マントルや下部地殻に存在する.しかしながら始生代のクラトンは地殻の部分が200kmの厚さで炭素存在部がより深くなる.

・クラトンの軽ケイ酸塩鉱物は熱伝導率が低いため,クラトンは周辺のマントルより温度が下がり,グラファイトからダイヤモンドの転移がクラトン下部で起こる.

・キンバーライトマグマはより深部(マントル)で形成され,周囲の岩石をとり込んで上昇する.その際,ダイヤモンドも一緒にとり込み,グラファイトへ転移する前に地表へ持ち上げる.

 炭素が十分あり,高い圧力と低い温度を満たす厚いクラトンがダイヤモンド形成の環境である(Waltham, 2025).加えて16億年前までのマントルは現在より200℃温度が高かったと考えられている.ダイヤモンドを伴うキンバーライトの年代に始生代が欠けることを説明する.

キンバーライト以外では,超苦鉄質のランプロアイトやランプファイアーにダイヤモンドを産することがある.西オーストラリアのダイヤモンド鉱山ではこの種の岩石から採掘された.隕石の衝突で高温高圧が達成され,ダイヤモンドが形成することがある.ドイツの(Nordliger Ries)では六角形のダイヤモンドを産する.グラファイトの形を残すもので,もとは片麻岩中のグラファイトであった.

 

ダイヤモンドの開発

現在,世界で生産されるダイヤモンドの大部分は合成ダイヤモンドである.天然のダイヤモンドは2%程度である(日本鉱物科学会・宝石学会,2019).以下では天然のダイヤモンドの開発生産状況を扱う.

天然ダイヤモンドのうち,宝石用途は20%くらいで多くは研磨材をはじめとする工業用途である.国別の天然ダイヤモンド生産量を東京ダイヤモンドエクスチェンジ(2026)から抜粋し末尾に表で記す.

まえがきで記したように,長くインドでは河川礫からダイヤモンドを採掘していた。19世紀になり南アフリカでキンバーライトからダイヤモンドを採掘するようになった.その後,世界各地でダイヤモンドが開発されるようになった.

アフリカ南部

キンバーライトでのダイヤモンド発見以後も南アフリカではキンバーライトパイプの鉱床や沖積鉱床が発見開発が進められた.1898年ヨハネスバーグ北で鉱床が見つかり,1902年にキンバーライトパイプを対象に鉱山開発を始めた.発見者の名前にちなみ,現在カリナン(Cullinan)鉱山と呼ばれている.1905年に3106カラットのダイヤモンドが見つかった.カリナン鉱山では現在は深さが1000mに達している.

 レソトは南アフリカ内部にある国で,レソト北部にキンバーライトが密集している.レツェング(Letsen)鉱山は,1974年代から開発が行われ,アフリカ南部で4番目に大きいパイプで採掘が進められている.

 ボツワナでは1971年にオラバ(Orapa)鉱山で最初の生産が始まり現在も引き続いている.ボツワナ南部では,1982年にジュワネン(Jwaneng)鉱山で開発が始まり世界的な鉱山となった.

アフリカ中央部

 ボツワナの北のアフリカ中央部には別のクラトンにキンバーライトパイプを産する.これを源とするダイヤモンド漂砂鉱床が広く分布している.この地域は政治的に不安定で血のダイヤモンドとか抗争のダイヤモンド(blood diamonds, conflict diamonds)とも言われてきた.

 アンゴラ北東部のカトカ(Catoca)パイプは世界レベルで年間700万カラットを生産している.

 コンゴ民主共和国の沖積ダイヤモンドは工業用ダイヤモンドで世界的なシェアを占め1万人の雇用を生んでいる.

 中央アフリカ共和国では多数の沖積ダイヤモンド鉱床があり,1929年以来生産が続く.7万人が働く.

アフリカ西部

 シエラレオネでは大がかりに河川流域で沖積れきを採掘し,30万人が働く.

 ジンバブエはボツワナのダイヤモンド産地からつながる.ジンバブエ東のマランゲ(Marange)の沖積性ダイヤモンドは,年間1700万カラットを生産する.西のムロワ(Murowa)では2004年から3つのキンバーライトパイプから良質のダイヤモンドを開発している.

 タンザニア北部で,カナダの地質専門家が発見したダイヤモンドを契機に平原の下のキンバーライトが開発された.1940年から生産が進んだが,彼の死後,鉱山は何度か休止した.最近本格的に生産を再開している.

オーストラリア

 西オーストリアではクラトン上で1851年に沖積ダイヤモンドが見つかった.キンバレー台地のエレンデール(Ellendale)で2002年から2015年にランプロライトのパイプ群のダイヤモンドを採掘した.エレンデールの東400kmのアーガイル(Argyle)鉱山が1983年から2020年まで生産を行った.地下300mまで掘り進め,ピークの1994年には4200万カラットの生産があった.

ロシア

 ロシアでは,旧ソ連時代の1950年代にシベリア北部でざくろ石,クロム透輝石,チタン鉄鉱を指針として沖積堆積物を調査した.ミール(Mir)鉱山が1957年に生産を始めた.年間1000万カラットを産したことがあった.工業用ダイヤモンドが対象である.2017年に洪水で生産は止まった.極北シベリアのポピガイ(Popigai)衝突クレーターでダイヤモンドが確認されているが開発に至っていない.ぺルム地域に沖積鉱床とデボン紀礫岩に鉱床がある.わずかな生産量だが宝石レベルで質は良い.ロシア北部のアルハンゲリスク(Arkhangelsk)北東部でキンバーライトパイプが発見され2005年に生産が始まった.主に宝石レベルを対象としている.

米国

 米国には,ローレンシア楯状地の南部で第四紀氷床近くにダイヤモンド産地が点在しているが規模は小さい.アーカンソーのキンバーライトパイプで1906年から1932年までダイヤモンドを生産した.現在は観光鉱山として入場料を払ってダイヤモンドを探すことができる.

カナダ

カナダでローレンシア楯状地の西の端は,スレーブクラトンと知られている.1984年に探査会社Dia Metが,ざくろ石,透輝石,チタン鉄鉱を指標としてダイヤモンドを伴うキンバーライトパイプの探査を行った.その探査結果は大手のBroken Hillに持ち込まれて開発が進められ,1992年に湖の下のパイプが掘られた.それら全てでダイヤモンドを産する.1998年最初の鉱山が生産を始めた.その後も続いて鉱山開発が進んだ.近接地域では新たな探査会社が磁気調査結果と指標鉱物から適地を求め,それに基づき,大手のRiO Tintoが氷上からキンバーライトパイプを掘り進めた.2003年から生産を始めた.2029年に掘り尽くしそうである.De Beersは長くカナダ北部で探鉱を続けていて,スナップレイク(Snap Lake)鉱山が2008年から2016年の間生産を行った.

 ハドソン湾の南で,ビクター(Victor)鉱山が,2008年から2019年にかけて生産を行ったが,現在休止中である.東のケベックでルナール(Renard)鉱山が2014年に開坑し2023年に休止した.

 楯状地はグリーンランドまで延びる.そこではキンバーライトと微小なダイヤモンドが見つかっている.西海岸のManitsoq付近である.

その他(ベネゼエラ,中国,インドネシア,ブラジル)

 アフリカ以外では,ベネズエラと中国で沖積鉱床から限定的にダイヤモンドを採掘した.1975年に中国ではキンバーライトパイプを開発した.

 インドネシアのボルネオで1518年からダイヤモンド採掘の記録がある.白亜紀礫岩と第四紀沖積層からのものである.地表部は掘りつくされ,ローカルに地表下を掘り進んでいる.カリマンタン南部でもっぱら採掘している.1965年に167カラットのダイヤモンドを採掘した.

 ブラジルで1725年にダイヤモンドが見つかってから,ブラジルは世界市場をしばらく占めていた.

 

表 ダイヤモンド原石の国別生産量(million cts),2025年                                              

国

生産量(mill. cts)

とシェア

生産額(1000 USD)とシェア

ロシア

31.5 (31.9%)

2724 (29.5%)

ボツワナ

15.5      (15.7%)

1978 (21.4%)

コンゴ

8.9         (9.0%)

45 (0.5%)

カナダ

14.1      (14.3%)

893 (9.7%)

南アフリカ

5.5        (5.6%)

599 (6.5%)

アンゴラ

15.2 (15.4%)

1812 (19.6%)

ナミビア

2.1         (2.1%)

722 (7.8%)

ジンバブエ

4.2 (4.3%)

102 (1.1%)

シエラレオーネ

0.1         (0.1%)

20 (0.2%)

レソト

0.7        (0.7%)

230 (2.5%)

その他

0.9 (0.9%)

109 (1.2%)

Total

98.8

9232

出典 一般社団法人東京ダイヤモンドエクスチェンジ tde.or.jp

ダイヤモンドデータベース ダイヤモンド原石国別統計データ

https://tde.or.jp/2026/07/10/2025%e3%83%80%e3%82%a4%e3%83%a4%e3%83%a2%e3%83%b3%e3%83%89%e5%8e%9f%e7%9f%b3%e5%9b%bd%e5%88%a5%e7%b5%b1%e8%a8%88%e3%83%87%e3%83%bc%e3%82%bf/

 

参考文献

Brooks, K. (2026) Kimberlites.  Geology Today, 42, 47-55.

Waltham, T. (2025) Geology and resources of diamonds.  Geology Today, 41, 103-113.

東京ダイヤモンドエクスチェンジホームページ,tde.or.jp

なんぼやホームページ,nanboya.com

日本鉱物科学会・宝石学会(2019)鉱物・宝石の科学事典.645p.,朝倉書店.

 

 

 

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付録 参考資料

青空文庫 芥川龍之介「日光小品」

底本初版は1950年(昭和25年),作品自体は明治44年ころ。

日光周辺をめぐったときの作品である。この中の「工場」に足尾鉱山での精錬のようすが記されている。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/110_15223.html

 

動画:

佐渡金山,観光用に再現された江戸時代の鉱山のようす 4分56秒

https://www.youtube.com/watch?v=tFy6qI60YsI

日鉄鉱業 アタカマ鉱山 8分28秒

https://www.nittetsukou.co.jp/saiyo/atakama/

三井物産 コジャワシ鉱山 2分26秒

https://api01-platform.stream.co.jp/apiservice/plt3/NjYw%23MjUw%23320%231c2%230%2333C300D04000%23

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遠隔授業の場合の課題

金の相場は,国際的には「1トロイオンスあたりドル」で表す。日本国内では「1グラムあたり円」で表すことが多い。

(1)2022年5月の市場で,1トロイオンス=1848ドルであった。1ドル=130円,1トロイオンス=31グラムとして,金の価格は1グラムが何円か?

ヒント:

・1トロイオンスあたり1848ドルを円で表す,1ドルが130円だから,何円か。小数点以下は切り捨てる。

・この価格は31グラムあたりの価格。そこで1グラムの価格はいくらになるか。

(2) 質問や感想があれば記す。

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