地球のなかま その2
4惑星の運動
5ケプラーの法則
6天体の距離
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4惑星の運動
4.1惑星現象
天球面上の構成は、星座の中でのたがいの位置関係を変えることはない。惑星はこれらの恒星の間をさまよっているように見える。惑星が太陽を公転する動きと地球の公転の動きが組み合わさったことによる。
地球よりも外側の軌道を公転する火星、木星、土星などを外惑星、地球よりも内側の軌道を公転する水星と金星を内惑星という。
外惑星の動き
地球から見て、惑星が太陽の方向にあるときを合(ごう)、太陽と反対の方向にあるときを衝(しょう)という。衝のとき、外惑星は地球に最も近づくので一番明るく、大きく見える。
内惑星の動き
合の位置が2つある。地球と太陽の間になる内合、太陽の向こうにある外合である。
太陽とともに出没するので観測できない。
内惑星が太陽から最も離れて見えるときを最大離角という。惑星を観測しやすい。
参考サイト 惑星をみる(ふっくんの星空散歩)
http://stardome-momo.littlestar.jp/beginner/look_planets.htm
惑星の位置関係のまとめ
合(ごう) 太陽と同じ方向にあるため惑星は見えない。
内合と外合がある。
内合(ないごう) 内惑星のみの現象。
惑星は太陽と地球の間にある。
外合(がいごう) 内惑星にも外惑星にも見られる現象。
惑星は,太陽の向こうにある。
衝(しょう) 外惑星のみの現象。
太陽の反対側にあり一晩中見える。
東方最大離角
(とうほうさいだいりかく) 内惑星の現象。
太陽から東側に一番離れて見え,日没後の西空で見頃。
西方最大離角
(せいほうさいだいりかく) 内惑星の現象。
太陽から西側に一番離れて見え,夜明け前の東空で見頃。
最大光度 最大光輝ともいう。
内惑星が一番明るく見える現象で,東方(西方)最大離角と内合の間で起こる。
東矩(とうく)
上矩(じょうく) 太陽の東側に 90度離れて見える。
日没に南中し深夜0時頃に西に没する。
西矩(せいく)
下矩(かく) 太陽の西側に 90度離れて見える。
深夜0時頃に昇って日の出に南中する。
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4.2会合周期と公転周期
衝や内合は地球とその惑星が最接近する位置、そこから公転しながら離れていくが、その後、接近して衝や内合になり、ふたたび接近する。この間の時間を会合周期という。
会合周期:外惑星の衝から次の衝までの時間、または、内惑星の内合から次の内合までの時間。
会合周期S日と地球の公転周期E日とから、惑星の公転周期P日を計算で求めることができる。
☆ nue_mineral_planet_fig1 (ハイブリッドその1中に)
外惑星と地球が軌道上を1日に公転する角度は、それぞれ360/P、360/Eである。外惑星は地球より公転周期が長いので、衝の位置から出発して、地球は外惑星より1日に360/E-360/Pの角度だけ先に進む。この角度が毎日加算されて360°になったとき、再び衝の位置になる。
したがって
(360/E-360/P)×S=360 よって
1/S=1/E-1/P
内惑星は地球より公転周期が短いので、外惑星の場合とP、Eの関係が逆になる。つまり
(360/P-360/E)×S=360 よって
1/S=1/P-1/E
例題
地球の公転周期は1.0年、金星の公転周期は0.62年である。地球と金星の会合周期は何年か。
金星は内惑星なので 1/S=1/P-1/E を用いる。
1/S=1/0.62-1/1.0
1=S (1/0.62-1/1.0) =S × (0.38/0.62)
S=1.63(年)
外惑星では、観測から衝から衝の会合周期がまず求まる。
それに基づき公転周期が求まる。
問
地球と火星の会合周期は2.13年である。火星の公転周期は何年か。
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問の回答例
1/S=1/E-1/P にS=2.13、E=1.0なので、
1/P=1/1.0-1/2.13=1.13/2.13
よって P=2.13/1.13=1.88年
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5ケプラーの法則
天動説 プトレマイオスの時代より1000年以上にわたる西欧の宇宙観。地球のまわりを天体が回転するという考えである。
地動説 16世紀になりコペルニクスは地球をふくめ惑星は太陽を中心とした軌道を運行する地動説を唱えた。コペルニクスの地動説では、軌道は円とされていた。
ケプラー(ドイツ、1571〜1630)ティコ(デンマーク、1546〜1601)の観測データから惑星の軌道と運動を明らかにしようと考えた。円軌道とすると観測データとうまく合わなかった。軌道がだ円であることに気づく。惑星の会合周期から公転周期を求め、距離との間にある法則があることも発見する。
第一法則(だ円軌道の法則)
惑星は、太陽を1つの焦点とするだ円軌道を公転する。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/1a/Kepler-first-law.svg
(ウィキペディアより)
第二法則(面積速度一定の法則)
惑星と太陽を結ぶ線分が一定時間に通過する面積は一定である。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d5/Plocha_pruvodice.png
(ウィキペディアより)
第三法則(調和の法則)
惑星の公転周期Tの2乗は、惑星の太陽からの平均距離(=だ円軌道の半長軸)の3乗に比例する。
第三法則を使う例題
地球のだ円軌道の半長軸は1AU(天文単位)、金星の半長軸は0.72AU(天文単位)である。金星の公転周期は何年か。
ケプラーの第三法則はa3=KT2
ただし、aは惑星のだ円軌道の半長軸、Kは比例定数、Tは惑星の公転周期。
地球は
a=1、T=1なので、13=Kx12
よって、K=1
金星については、
0.723=1xT2
T=0.723の平方根=0.61年
補足
物理の原理にニュートンの「万有引力の法則」がある。ケプラーの第三法則は万有引力の法則から導くことができる。
彗星(すいせい)が突然地球に近づくことがあり、話題になる。その彗星が次に地球に訪れるのは何年後になるかはケプラー第三法則によって求めることができる。
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6天体の距離
地球が公転するため,地球近くの恒星の見える方向ははるかに遠い恒星の配置に対して1年を周期とした変化から、その恒星までの距離をはかることをすでに述べた。天体までの距離を測る方法をあらためて整理してみる。
レーダー測距法
水星、金星、火星の距離はレーダーの反射波の往復時間から直接測ることができる。測定時の惑星の軌道上の位置がわかっているので、太陽までの距離1天文単位は精確に測定できている。
年周視差法
地球が太陽のまわりを公転しているので,地球近くの恒星の見える方向ははるかに遠い恒星の配置に対して1年を周期として変化する。基線として地球の公転半径(1天文単位)をとったときの視差をその恒星の年周視差(単位は秒)という。
年周視差(ウィキペディアより)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e3/Stellarparallax2.svg
年周視差をp (秒),目的とする恒星の距離をrとすると,pは微小なのでpとrは反比例すると考えてよい。
p=1(秒)の角度のとき,r=3.26光年になる。恒星までの距離の単位には,光年やパーセク(pc)が使われる。1光年とは,光が1年間に進む距離,1パーセクとは,年周視差1秒に相当する距離で3.26光年となる。つまり,
r=1÷p(パーセク)=3.26÷p(光年)
問:太陽に最も近いケンタウルス座α星は,年周視差が0.755秒である。距離はどのくらいか。
回答例 距離r(光年)=3.26÷0.755=4.3
分光視差法
恒星の光を虹のような連続した色の光に分けることができる。この帯(スペクトル)には暗線(吸収線)が見える。その吸収線の現れ方でスペクトル型に分類される。これは恒星の表面温度の違いを表す。
このスペクトル型と絶対等級(32.6光年においたときの星の明るさ)、言いかえると恒星の表面温度と半径の間には一定の関係があるものを主系列星という。
年周視差で距離がわかっているヒアデス星団の主系列星と比較して見かけの等級のずれから距離を計算する。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/2e/H-R_diagram.png
ヘルツシュプング・ラッセル図(ウィキペディア) 横軸がスペクトル、縦軸が絶対等級、主系列星:Main sequences
標準光源法
絶対等級がわかっている標準光源を用いて見かけの明るさから距離を求める。
脈動型変光星は膨張と収縮を繰り返し明るさが周期的に変わる。その変光周期と絶対等級との間に一定の関係が知られているものがある。変光周期を観測し見かけの等級と絶対等級との差から距離を求める。
Ia型超新星法
最大光度が絶対等級で-19等に達するIa型超新星があらわれれば、その見かけの明るさと絶対等級の差から距離推定に使える。
赤方偏移法
膨張宇宙モデルを仮定して、銀河の赤方偏移から距離を計算する。
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