下切駅から広見線可児川駅までの東海自然歩道沿い

 

下切駅沿革(ウィキペディアより抜粋)

1952(昭和27)1226日,日本国有鉄道の駅として開業。旅客営業のみ。

1987(昭和62)41日,国鉄分割民営化により,JR東海の駅となる。

 

概説

地域の地質は,中生代のチャート(Jch),新生代新第三紀前半の火山砕屑岩からなる蜂谷層(N1v),砂岩や泥岩からなる中村層(N1ss),新第三紀後半から第四紀前半の土岐れき(N3cg),第四紀の段丘堆積物(t),泥流堆積物(m),沖積層(a)からなる。地域の南西部では丘陵部でチャートと中村層からなる。北側に広く分布する土岐れき層とは地形的に不連続で,両者は断層関係にある(産総研)

 

地質図 産総研地質図を加筆修正

 

観察要点

 下切駅と可児川駅を結ぶ東海自然歩道を見学ルートとする。

 河川の水質調査の定点地(地点1)に寄るため下切駅から遠回りしているが,駅近くの道で西に向かいすぐに自然歩道に沿いことができる。

 自然歩道の案内に沿い南に進みゆるい坂を上ると,今城跡への案内がある(地点2)。そこから今城跡は歩いてすぐである。跡地であるが,看板や歩道が整備されている(地点3)。一帯は土岐れき層である。

 自然歩道にもどり案内に沿い北へ向かう。途中に山の斜面に太陽光発電パネルが設置している(地点4)。露出は少ないが,丘陵は土岐れき層である。農業大学校付近には中村層の砂岩や泥岩が露出する。

 案内に沿って進むと,信号がある交差点のかどに美濃尾張キリシタン顕彰碑がある(地点5)。尾張地方の隠れキリシタンに関連したものであるらしい。

 地域全般の東海自然歩道沿いで田んぼに利用されている平坦地は,段丘堆積物である。第四紀後半の堆積物である(地点6)

 可児川駅からのルートは,「広見線沿線地質ガイド」に詳しい。可児川河床に降りることができるので,下切駅同様に水質調査の定点地(地点7)としている。地質は火山れき凝灰岩である。

 

写真1 今城案内(地点2)

 

写真2 今城跡(地点3)

 

写真3 美濃尾張キリシタン顕彰碑(地点5)

 

写真4 段丘堆積物(地点6)

 

写真5 火山れき凝灰岩(地点7)

 

付録 pHと導電率

河川水の分析では,pHと導電率の測定が手軽でかつ基本である。川や海の水が蒸発して雲になり雨となる。雨はいわば蒸留水,中性(pH=7)で導電率(μS/cm)は低い。

pH(ペーハー,またはピーエッチ)

 pHは,酸性あるいはアルカリ性の程度をあらわす単位。酸性はpH7より小さい値,アルカリ性は大きい値。

 大気中の二酸化炭素(CO2)が雨に溶けこむとpH=5-6くらいになる。工場排ガスや自動車排ガスのSOxNOxが硫酸や硝酸になり雨を酸性にする。pH=4になることもある。酸性雨の影響で建物や遺跡・文化財の腐食がおきる。

導電率(電気伝導率)

 物質が溶け込むと電気が流れやすくなる。導電率とは液体中にどのくらいの物質が溶け込んでいるか(イオン化しているか)を示す指標。

 例えば,海水は非常に高い導電率。雨水,河川水,湖水は非常に低い。導電率の低い水が汚染されると導電率が高くなる。そこで導電率は汚染の指標になる。

 導電率の単位はオームの法則から求められる。オームの法則では,電流(I,アンペアA)=電圧(E,ボルトV)/ 抵抗(R,オームΩ)である。抵抗R=r×長さ(L, cm)/断面積(S, cm)である。

ここでの逆数,1/r=kが導電率,単位はS/ cmである。この1000分の1mS/cm,さらに1000分の1がμS/cmである。